コラム
2025/11/18
不動産売却
不動産売却の決済・引渡しの流れとは?必要書類・手続きまで徹底解説

不動産売却において、売買契約を結んだ後の「決済」と「引渡し」は、取引の最終段階です。この段階で初めて、売主様から買主様へと不動産の所有権が正式に移転します。
しかし、初めて不動産を売却する方にとっては、「何を準備すればいいのか」「当日はどんな流れで進むのか」と不安に感じることも多いでしょう。
実は、決済当日に書類の不備があったり、必要な手続きを忘れていたりすると、決済の延期やトラブルに発展する可能性もあります。多額のお金が動き、特有の書類が必要になるからこそ、事前の準備が何より重要なのです。
この記事では、不動産売却の決済から引渡しまでの具体的な流れ、必要な書類や持ち物、そして注意すべきポイントを詳しく解説します。安心して取引を完了させるために、ぜひ最後までお読みください。
不動産売却における決済とは?取引完了の最終ステップ

不動産売却における「決済」とは、買主様から売買代金の残代金を受け取り、同時に不動産の所有権を買主様に移転する手続きのことです。
売買契約締結時には手付金を受け取りますが、決済日には残りの代金が支払われます。この残代金の授受と物件の引渡しが完了することで、すべての不動産売却取引が完結するのです。
決済は通常、売買契約締結後の約1ヶ月以内に行われます。
決済の方法は現金か銀行振込の2種類
決済方法には、現金決済と銀行振込決済の2種類があり、売主と買主の間で事前に決めておきます。
現金決済の場合、買主様は事前に銀行に連絡してお金を準備してもらう必要があります。売主様は受け取った後、速やかに金融機関の口座に入金できるよう準備しておきましょう。多額の現金を持ち歩くリスクを考えると、銀行振込を選ぶケースが一般的です。
銀行振込の場合は、金融機関で決済を行うか、オンラインで行うかの2通りがあります。オンライン振込を選ぶ場合は、振込送金の上限金額を確認し、必要に応じて制限解除をしておく必要があります。また、振込手数料が発生するため、売主・買主のどちらが負担するかを事前に決めておくとトラブル防止になります。
決済を行う時間帯と場所
決済は基本的に平日の午前中に行われることがほとんどです。
理由は、万が一トラブルが発生しても当日中に対応できるためです。例えば、振込先の書き間違いでトラブルが発生した場合でも、午前に発覚すれば午後にやり直しが可能です。また、書類に不備があった場合も修正を行う時間が確保できます。
決済場所は、買主様が住宅ローンを借りる金融機関で行われることが多いです。買主様の残代金の支払いや、ローン担当者とのやり取りをスムーズにできるからです。現金またはネット銀行決済の場合は、不動産会社や司法書士事務所の事務室で行われることもあります。
決済日当日の流れを詳しく解説

決済日当日は、どのような流れで手続きが進むのでしょうか。
所要時間はおよそ1時間から1時間半前後です。売主様・買主様のほかに、所有権移転登記を行う司法書士、仲介を担当する不動産会社、買主様が住宅ローンを借りる金融機関の担当者が立ち会うのが一般的です。状況に応じて、売主様が住宅ローンを借りている金融機関の担当者も立ち会います。
ステップ1:司法書士による本人確認と書類の確認
決済手続きを行う際は、まず司法書士が決済の場にいる人の確認を行います。売主様・買主様本人であることを証明するため、運転免許証やパスポートなどの写真付き身分証明書を持参しましょう。
この時、司法書士は所有権移転登記にかかる書類の確認も行います。権利証(登記済証・登記識別情報)、実印、印鑑証明書、固定資産評価証明書などの書類に不備がないかをチェックします。
ステップ2:金銭の授受
司法書士による本人確認や書類確認が終われば、決済の準備完了です。
続いて、買主様から売主様へ残代金の支払いが行われます。買主様が住宅ローンを利用する場合には、このタイミングで融資が実行されます。また、固定資産税・都市計画税や管理費・修繕積立金などの各種精算金の授受も行います。
ステップ3:領収書の授受
残代金の着金が確認でき次第、売主様は残代金や各種精算金の領収書を発行して買主様に渡します。領収書は不動産仲介会社が用意してくれるのが一般的ですが、事前に必ず確認しておきましょう。
ステップ4:鍵や必要書類の引渡し
買主様へ物件の鍵や取扱説明書などの各種書類を引渡します。
鍵はこれまでに作製した合鍵も含めてすべて引き渡すのが原則です。建物がある場合には、設備類の取扱説明書や購入時のパンフレット、設計図書類などがあればそれも買主様に引渡しましょう。マンションの場合は管理規約なども重要です。
ステップ5:不動産の登記手続き
売却する不動産の登記手続きを行います。住宅ローンが残っていて抵当権が付いている不動産の場合は、住宅ローン完済後に抵当権抹消登記の手続きが必要です。同日には売主から買主へ不動産の所有権を変更する、所有権移転登記の手続きも行います。
司法書士に依頼して同時に行うことが一般的です。司法書士が所有権移転登記書類を登記所に持ち込みますが、決済が午前中であれば移動時間や書類補正を行う時間に余裕を持つことができます。
決済に必要な書類と持ち物の完全チェックリスト

決済日に必要な書類や持ち物を忘れると、決済が延期になる可能性があります。事前にしっかりと準備しておきましょう。
登記手続きをするための書類
- 権利証(登記済証・登記識別情報):不動産の所有権を証明する重要書類
- 実印と印鑑証明書(発効後3ヶ月以内):本人確認のために必要
- 固定資産評価証明書:登記手続きの際に必要
- 金融機関から交付される抵当権解除証書・放棄証書など:住宅ローンが残っている場合
- 金融機関の委任状:抵当権抹消のために必要
引渡す不動産に抵当権が設定されている場合、売主様は住宅ローンを契約した金融機関に連絡して、抵当権抹消の書類準備をしなければなりません。通常、金融機関が抵当権抹消の書類を準備できるまでの期間は10営業日(2週間)ですが、金融機関によってはそれ以上かかる場合もあります。決済日が決まったら速やかに金融機関に連絡して手続きを始めましょう。
買主へ引き継ぐ書類
- 建築確認書
- 測量図、設計図など
- 設備や備品の明細書、保証書など
- 物件購入時のパンフレット
- マンションの管理規約(マンションの場合)
本人確認書類、その他
- 写真付き身分証明書:運転免許証やパスポート
- 司法書士への報酬、登記手続き手数料
- 不動産会社への仲介手数料
- 入金用口座の通帳・キャッシュカード・オンライン端末など:着金を確認できるもの
個別に書類等が必要となるケースがありますので、事前に必ず不動産仲介会社に確認して早めに準備しましょう。
決済前に確認しておきたい重要ポイント

決済日は売買契約の流れの最終日です。後にトラブルが発生しないために、不明点などが残らないようにしたいものです。
契約不適合責任について必ず確認
不動産の売却で、特に注意したいのは契約不適合責任(旧:瑕疵担保責任)についてです。
契約不適合責任とは、売却した物件が契約内容と異なる場合に売主が責任を負わなくてはいけないというものです。たとえば契約書に記載がない(説明がない)故障や損傷があった場合などが該当します。
契約不適合責任は売主への責任が大きく、特に注意が必要な部分になります。責任を負う期間については契約書にて定めることになりますので、補償の範囲についてしっかり確認しておきましょう。個人間売買では双方の合意のもと、特約によって契約不適合責任を免責にすることも可能です。
ただし不動産の不具合を知っていたのに黙っていた場合は、その責任を免れることはできません。物件の状態を正確に伝えることが、後々のトラブルを防ぐ最善の方法です。
税金などの精算
固定資産税や都市計画税は、1月1日時点の所有者に課税がされています。年度途中で売却する場合は事前に買主と負担割合を取り決め、精算金を受け取ります。この精算についても、決済日までに明確にしておくことが重要です。
決済後の流れと引渡し完了

決済が完了すると、物件の引渡しも同時に完了します。引渡完了の証明として「引渡確認書」などを発行するケースもあります。
売主様は、決済日以降は物件に対する権利を失いますので、引っ越しや荷物の搬出は必ず決済日より前に完了させておく必要があります。また、電気・ガス・水道などの公共料金の名義変更や解約手続きも忘れずに行いましょう。
引渡し後の税務手続き
不動産を売却した場合、譲渡所得が発生する可能性があります。譲渡所得がある場合は、売却した翌年の確定申告が必要です。一定の条件を満たすことで、居住用財産の譲渡所得の特例などの税制優遇を受けられる可能性もありますので、税理士などの専門家に相談することをおすすめします。
まとめ:安心して決済を迎えるために
不動産売却の決済から引渡しまでの流れは、事前準備が成功の鍵を握ります。
決済日当日は、司法書士による本人確認と書類確認、金銭の授受、領収書の授受、鍵や書類の引渡し、登記手続きという流れで進みます。必要な書類や持ち物を事前にしっかりと準備し、契約不適合責任や税金の精算についても明確にしておくことで、トラブルを未然に防ぐことができます。
特に、抵当権抹消の書類準備には2週間程度かかることもあるため、決済日が決まったら速やかに金融機関に連絡することが大切です。また、決済は平日の午前中に行われることが一般的ですので、スケジュール調整も忘れずに行いましょう。
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