CLOSE
CLOSE

賃貸管理コラム

2025/10/13

トラブル 賃貸物件

退去時のトラブル回避! 原状回復費用の正しい考え方

退去時の敷金(保証金)精算をめぐって入居者との間でトラブルになるケースは少なくありません。オーナー様が正しい知識を持つことで、適正な費用負担を求め、円滑な賃貸経営を目指しましょう。

 

1. 「原状回復」の定義と費用負担の基本原則

退去時の「原状回復」は、「すべてを新品に戻すこと」ではありません。原則として、その費用負担は以下の通りです。

費用負担者 対象となる損耗(入居者負担の範囲)
入居者 故意・過失、善管注意義務違反、通常を超える使用による損耗・毀損
オーナー様 経年劣化(自然な劣化)と通常損耗(普通に生活して生じる汚れや傷)

重要なのは、オーナー様は「経年劣化・通常損耗分」の費用を敷金から差し引くことはできない、という点です。

 

2. オーナー様負担となる「経年劣化」と「通常損耗」の具体例

 

姫路の物件を長く良い状態で保つためにも、以下の費用はオーナー様の負担として計上する必要があります。

区分 具体的な例
経年劣化 ・壁紙、畳、カーペットの変色・摩耗(年数経過によるもの) ・設備(給湯器、エアコンなど)の寿命による故障・交換 ・日照など自然現象による床や建具の色あせ
通常損耗 ・家具を置いたことによる床やカーペットのへこみ ・テレビ・冷蔵庫の裏の壁にできる電気焼け ・ポスターやカレンダーを貼る程度の画びょう、ピンの穴

3. 入居者に費用を請求できる「損耗・毀損」の判断基準

入居者の退去費用として請求できるのは、「入居者の責任」と明確に判断できる以下のケースです。

責任の区分 具体的な例
故意・過失 ・不注意で物を落とし、床や建具につけた大きな傷・破損 ・結露を放置したことによる広範囲なカビ(掃除を怠った場合) ・水漏れ事故や不適切な清掃による建物の損傷
善管注意義務違反 ・日常清掃を怠ったことによる排水溝のひどいヌメリ・詰まり ・タバコのヤニによるクロス(壁紙)の広範囲な変色や異臭(※喫煙可物件でも、通常使用を超える汚損は請求可能)
通常を超える ・壁にクギやネジを打ち込んだ大きな穴(棚の設置など) ・ペット飼育禁止物件でのペットによる傷や臭い(※契約違反)

4. トラブルを避けるための実務ポイント

 

適正な敷金精算を行い、入居者からの苦情を減らすために、管理会社と連携して以下を徹底しましょう。

  1. 契約時の「特約」の明確化
    • クリーニング費用など、通常の原状回復とは別に「入居者負担とする」事項を契約書に明記し、入居者に丁寧に説明します。ただし、特約も不当な内容(全額借主負担など)は無効になる可能性があるため、ガイドラインに沿った内容にしましょう。
  2. 証拠写真の記録
    • 入居時退去時の部屋の状態を写真で記録し、入居者の責任による損傷かどうかを客観的に証明できるようにします。
  3. 減価償却の考え方の適用
    • 壁紙や設備など、消耗品については、年数に応じて価値が下がります(減価償却)。入居者に費用請求する際は、「新品交換費用の全額」ではなく、「経過年数に応じた残存価値」に対して請求することが原則です。

オーナー様が正しいルールに基づき対応することで、姫路での賃貸経営の信頼性が高まり、空室対策にもつながります。