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賃貸管理コラム

2025/04/14

トラブル 知識 賃貸物件

LPガスの商慣行に変化!「無償貸与」に罰則

【コラム】LPガスの商慣行に変化!「無償貸与」に罰則、賃貸オーナーが注意すべきポイントとは?

長年にわたり問題視されてきたLPガス(プロパンガス)の「無償貸与」問題に対し、ついに国が本格的な規制に乗り出しました。入居者に不利益をもたらしていたこの商慣行は、2024年から順次法改正・制度改正が行われ、2025年4月には「三部料金制」が導入される予定です。賃貸経営に携わるオーナーや管理会社にとっても見逃せない改正内容を解説します。


LPガス「無償貸与」の実態とは?

これまでLPガス業界では、給湯器やガスコンロ、エアコン、インターフォン、Wi-Fi機器などの設備を、ガス事業者が賃貸オーナーに無償で貸与する慣行が広く行われてきました。これらの費用は最終的に入居者のガス料金に上乗せされ、入居者が知らないうちに設備費を負担しているケースが多数存在したのです。

2023年度の調査によれば、ガス事業者のうち56.2%が賃貸オーナーや不動産会社からの要望で、こうした設備費用を負担したことがあると回答しています。


2024年7月、厳格な営業規制と情報提供義務が開始

2024年7月の法改正により、以下の2点が義務化されます。

  1. 過大な営業行為の制限

  2. LPガス料金に関する適切な情報提供

これにより、設備の無償提供といった過剰な利益供与は禁止され、ガス事業者の変更を阻害する契約条件も制限されます。また、賃貸契約前に入居者へのガス料金提示が努力義務となり、要請があれば詳細情報の提供が義務化されました。


2025年4月から「三部料金制」がスタート

さらに2025年4月からは「三部料金制」の導入が決定。この制度では、

  1. 基本料金

  2. 従量料金

  3. 設備料金

の3項目を検針票等に明記することが義務づけられます。特に賃貸住宅向けLPガス契約では「設備料金」は0円と表示されるため、入居者への不当な費用転嫁が防止される仕組みとなります。


コンプライアンス重視の賃貸経営が必須に

今回の法改正によって罰則対象はガス事業者ですが、賃貸オーナーも無関心ではいられません。不適切なガス契約が原因で「LPガス料金が高すぎる」といった口コミがSNSで拡散し、物件のイメージ悪化・空室増加に繋がる恐れもあります。オーナーは管理会社・ガス事業者と連携し、入居者へ適正な情報提供と透明な契約内容を実現することが求められています。


まとめ

LPガスの商慣行改革は、賃貸経営にも大きな影響を及ぼす重要な制度変更です。今後はコンプライアンスの意識を高め、適正な物件運営に努めることが、長期的な安定経営のカギとなるでしょう。今一度、自社物件のガス契約状況を見直してみてはいかがでしょうか。