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賃貸管理コラム

2025/05/14

知識 賃貸物件

健全な賃貸経営に必要なNOIとは?

健全な賃貸経営の羅針盤!NOIとは?

賃貸経営において、収益性の正しい把握はとても重要です。特に、経験や知識が浅いオーナー様の場合、「表面利回り」など簡単な数値だけで物件の収益性を判断してしまうケースが少なくありません。しかし、これだけでは経営状態を正しく捉えることは難しいのが現実です。そこで注目すべき指標が「NOI(Net Operating Income:純収益)」です。

NOIは「エヌ・オー・アイ」と読み、賃貸物件がどれだけ“稼ぐ力”を持っているのかを示す数値です。NOIの計算式はとてもシンプルで、

NOI=年間の満室時家賃収入 − 年間の物件運営費 − 空室期間による損失

となります。たとえば、満室時の家賃収入が1,000万円、物件運営費が400万円の場合、NOIは600万円(空室による損失を含む)となります。この計算式の中で特に大切なのは、「実際の収入と費用」を正確に把握することです。ここには、管理手数料、共用部の光熱費、定期清掃費、固定資産税などの運営費が含まれます。一方で減価償却費や借入金の利息などは含まれません。なぜなら、NOIは物件自体が生み出す本質的な収益力を測るための指標だからです。

成功しているオーナー様の多くは、このNOIを基に経営判断を行っています。逆に「感覚的な黒字」「何となく赤字だが理由は不明」といった曖昧な経営は、長期的に見て危険です。NOIを定期的にチェックし続ければ、問題が発生した際の改善点も明確になり、健全な収益体質を作ることが可能になります。

NOIを向上させる具体的な方法

NOIの改善は「家賃収入を増やす」か「運営費を減らす」ことで実現できます。

【家賃収入を増やす方法】

  • 家賃の適正価格への見直し

  • フリーレントや割引家賃の見直し

  • 家賃滞納の削減(管理会社との連携)

  • 空室対策(リフォーム・ホームステージング)

  • 設備の追加(宅配ボックス、無料Wi-Fi)

  • 入居者満足度の向上(清掃・騒音対策)

  • 退去防止策(更新時のインセンティブ)

  • 敷地内収益(自販機設置など)

【運営費を減らす方法】

  • 修繕費の見直し(複数業者による比較)

  • 光熱費の削減(LEDや省エネ機器)

運営費の中でも、近年高騰している修繕費には特に注意が必要です。価格相場を定期的に確認し、必要以上に高い支出となっていないかチェックしましょう。

NOIと利回りの違い

「表面利回り」や「実質利回り」とNOIの違いも理解しておきましょう。

  • 表面利回り:経費や空室リスクを無視した単純計算

  • 実質利回り:経費を含めるが基準が曖昧な場合も

  • NOI:実際の純収益に基づくため正確性が高い

NOIは経営判断に最も適した指標と言えるでしょう。

NOI利回りで物件の価値を比較

さらに「NOI利回り」という指標もあります。計算式は以下の通り。

NOI利回り(%)=NOI ÷ 物件価格 × 100

例えば、NOIが300万円で物件価格5,000万円の場合、NOI利回りは6%となります。これを使うことで、他物件との比較や売却時、リファイナンス時の評価にも役立てることができます。


NOIの定期的な算出と改善施策の実行。このサイクルを続けることで、長期的に安定した賃貸経営が実現できます。NOIは単なる数字ではなく、賃貸経営を成功に導く「羅針盤」と言えるでしょう。